住友電工の流儀 西村 陽 専務取締役 研究开発本部長

お客様目線を出発点に置いた研究开発を 環境変化に「ゲームチェンジ」のチャンスあり

光ケーブルの研究开発に没頭した若き日々

今から约40年前の学生时代、私はサークル活动で山登りや沢登りに明け暮れていて、决して学究肌ではありませんでした。ただし、大学院の2年间は、自分としては真剣に勉强したと思います。専攻したのは数理工学。データを数式化し数理モデルを构筑するのが研究テーマで、制御理论などに使われます。就职に际して考えたことの一つは、「モノ」に関わりたいということ。数理工学は机上の世界であり、社会に出てからは実际に「モノ」を扱いたいと思ったのです。そんな折、研究室の先辈から住友电工で进めている光ファイバーの研究の话を闻きました。当时、光ファイバーは黎明期。これからの社会に不可欠となる製品であり、大きな可能性を秘めていると感じました。そこに大きな魅力を感じたのが入社の理由の一つです。また翱叠から、若い人に仕事を任せる公司风土があると闻いたことも入社を强く后押ししました。

光ファイバーに魅かれて入社しましたから、希望したのも光ファイバー?光ケーブル*の研究开発。希望通り横浜の研究开発本部に配属されました。当時、国内では光ケーブルの導入が始まった時期で、全てのオフィスや家庭を光で結ぶネットワークが構想されていました。他社との開発競争が非常に激しかった時代であり、その中で、お客様である通信キャリアに、自社の光ファイバーケーブルを採用していただくために、文字通り、日夜研究に没頭しました。そして、私たちはケーブル外径を細くするために、ファイバーの高密度化(600~1000本の多芯化)を実現したのです。最終的に当社の提案が採用されたときは、研究者としてやりがいを実感しました。

「民需拡贩」という壁を乗り越える

私が研究开発に直接関わったのは、入社後の7年間と2020年に研究开発本部長に着任以降の期間にすぎません。その間、およそ25年以上は一貫して事業部畑、すなわち通信事业部、光通信事业部に所属し、お客様へ技術的な側面からアプローチし、当社光ケーブル製品の拡販に向けた仕事に従事してきました。印象深い取り組みは、2000年代初頭、それまで販売先は主には通信キャリアでしたが、一般向け民需拡販を担当したときのことです。当時の一般向け民需シェアは10%程度。そこから、いかにシェアアップを図るか。しかしそれまでの事業部全体の方向性は大手通信キャリア志向。そのベクトルを変えねばなりません。私は事業部の実務部隊リーダーとして、最前線の支店にエンジニアに常駐してもらい、お客様の技術情報をキャッチした営業担当者とエンジニアがスムーズに連携?協働するチームを組成するなど、会社として民需拡販に取り組む体制構築を営業と一緒に進めました。その結果、一般向けのシェアを50%超まで拡大。確かな成果を得ることができました。それは当時営業最前線で奮闘していただいていたベテランメンバーにとっても深く心に残ったようで、私が常務に着任した際にOBの方からお祝いのメールをいただきました。その中には当時の私の取り組みを高く評価してくれた一文が書かれていました。共に働いていた人が結果だけではなくプロセスをそのように評価していてくれたことに、感謝とともに大きな喜びを感じました。

事业部长になった当时も、困难な壁に突き当たりました。光ケーブルの国内需要が减速し価格も下落。その中で海外需要の拡大にシフトチェンジする必要に迫られました。しかし时代は円高が进行し、当时はまだ输出竞争力も不十分、さらに东日本大震灾による工场被灾などが重なり、极めて厳しい局面を迎えたのです。この状况を打开すべく国内外での彻底したコストダウン、中国での合弁事业推进や国内外での拡贩等、チーム一丸となって地道で粘り强い活动を続け、何とか2年后に営业黒字を达成することができました。チームでベクトルを合わせ、力を结集すれば、想像を超える结果を生み出せることを强く実感した経験でした。

西村 陽

研究者に欠かせないコミュニケーション能力

私はこれまでさまざまな局面で、「ものごとに素直に向き合うこと」「フェアに判断すること」「自分の役割から逃げ出さないこと」を心掛けて仕事に取り组んできました。特にリーダーとして必要なのは「あるべき姿を诉え続ける」ことだと思います。困难な课题を前に、状况?事情等『できない』理由を合理的に説明されることがありますが、それで纳得してしまえば、すべてはそこで终わりです。状况をきちんと把握した上で、我々のあるべき姿を诉え続けることで、想像を超えた成果が生まれます。リーダーのそうした姿势が、チームの持つポテンシャルを最大限に引き出すと思います。

現在、研究开発本部長として、当社の自动车事業本部所管の研究开発を除く研究开発全体をマネジメントする立場にあります。次世代を担う研究开発分野として「モ?エ?コ」(モビリティ、エネルギー、コミュニケーション)を掲げ、それらの融合領域も含め注力しています。ますます注目の高まる脱炭素社会の実現に向けても、従来から新エネルギー分野の技術開発に注力してきましたが、今後も強力に推進していきたいと思っています。

若い研究者に伝えたいことは、自分たちの価値観に缚られるのでなく、お客様から见てどのような価値があるのか、竞合と比べ何が魅力的なのかを十分に俯瞰的に把握する必要があるということです。当たり前のことですが、研究者というのは事业の役に立つために研究をしています。事业を成功させるには、自分たちを出発点とするのではなく、お客様目线を出発点に置くことが重要です。その中でオープンイノベーションなど外部とのコラボレーションも必要になります。こうしたことを実践するためには、幅広い视野に加えてコミュニケーション能力が欠かせません。社会を取り巻く环境は大きく変化しています。そこには难しさもありますが、「ゲームチェンジ」のチャンスでもあります。これを実现するためには、お客様ニーズにスピード感を持って対応するとともに、必ずやり遂げるという强い决意を持って临むことこそが必要です。これらを支援するためにも、次代を担う研究者が将来に希望を持ち、その知见、才能をフルに発挥できる环境を整备?创造していきたいと考えています。

* 光ファイバーは、細いガラス繊維でできた光信号の伝送媒体。光ケーブルは、光ファイバー心線を撚り合わせて外皮加工を施し、屋内外の実用に耐え得る形態としたケーブル。

PROFILE

西村 陽 Akira Nishimura

1984年
住友電気工業株式会社 入社 研究开発本部

1991年
通信事业部

2003年
光通信事业部 技術部長

2008年
光通信事业部 海外技術部長

2009年
光通信事业部 企画部長

2010年
光通信事业部長

2013年
执行役员
情报通信事業本部 副本部長 光通信事业部長

2015年
常務执行役员
情报通信事業本部 副本部長

2016年
常務取締役 情报通信事業本部長

2019年
専務取締役 情报通信事業本部長

2020年
现职

中国プロジェクト壮行会(2010年2月/前列左から4番目が本人)
中国プロジェクト壮行会(2010年2月/前列左から4番目が本人)

厂狈厂シェア